アイデアのスープのレシピ

アイデアのレシピ集

「これは売れないよ」とみんなから言われたものが一番売れるという事例

日本一 ももたん 白桃味 パッケージ

「日本一ももたん」(白桃味)4個入り 本体価格:500円

2013年4月13日、入院前日に「ももたん」を発売したんですが、それからまだ1年も経っていないんですね。最初はスモールスタートだった気がします。今も資金繰りで四苦八苦してますが、みなさまから支えられてなんとか事業として成立するメドも立ってきました。今では何種類あるんでしょうかね。すべてがパッケージものの自社製でここまで出来ているのは、かなり頑張った方だと思います。

さて、「ももたん」のパッケージですが、発売当初からいろいろと意見や文句を言われることが多かったですね。こんな小さいの売れるか、個包装じゃないのに売れるわけが無い、値段が高いよ安くしろよ、デザインがシンプル過ぎて売れないよ、とかね。いろいろ言われました。

中でももっとも前評判の悪かったのが、富士山の世界文化遺産登録を記念して作った「日本一ももたん」(白桃味)ですね。これは「絶対に売れない」と言われた商品です。どうして売れないと言われたかというと、パッケージ側面に「ももたん」というブランド名が書かれている以外、文字情報がいっさい入っていないからです。パッケージに文字によっる訴求が無いと売れないというのは、おみやげ業界ではもはや誰も取り上げないくらい常識となっています。それになんで岡山なのに富士山なの?という常識はずれのパッケージだったりします。

まあ、これは売れると思って狙って作ったわけではなく、このタイミングでこの商品が必要だと言う計画の元で作られた商品で、これが現在の「にっぽんももたんプロジェクト」につながっていくわけです。「岡山」や「白桃」という文字情報が無いのに「岡山」のおみやげであり、「白桃」のお菓子であり、しかも「富士山」のイラストが書いてある。分かりやすくなければ売れない、と考えられてきたお土産業界の中で、かなり異彩を放っていると思います。じゃあ、お前は売れると思っていたのかと聞かれれば、売れるか売れないかというよりも必要だから作ったという他無いんですがね。

売れそうだから作るというのは商売の鉄則なのかもしれないです。でも、老舗がひしめく業界で、新規参入の僕がどうやって自分の居場所を作っていくかというと、これはもう正気の沙汰では到底無理なのです。すでにあるマーケットの中で自分の居場所を作り、その中で存在感を出すためには自分でしか出来ない流儀を通すというのも必要なのかと思ってます。需要があったから売れたというのでは決して無いと思います。「ももたん」は突然売れたのではなく、一歩一歩少しずつ着実に自分のエリアを広げていく囲碁やオセロにも似たマーケットの攻略なんです。

一時は「フルーツパフェ味」を超える売上を出していたこの富士山の「ももたん」。考えてみるとここから事業としての輪郭が見えてきたのかなあと思います。「これは売れないよ」とみんなから言われたものが一番売れるという事例は、ここ10数年の僕の商売の考え方のひとつの答えが、結果として出てきた貴重な例なのかもしれんです。ビジネス書に書いていない答えのひとつがここにあるんでしょうね。