アイデアのスープのレシピ

アイデアのレシピ集

地方振興キャンペーン闘争の果てに残るのは、ロゴマークの死屍累々とイオンモールだけだった。

ワイフを迎えに行くまでの30分、できるだけ。

まあ、地方再生だとか、地方再興だとか、そういうので食ってるというか、地方を食い物にするコンサルというのが跋扈する昨今ですが、そういうのを目にする機会も多い業界におりますゆえ、ああ、この農家の後継ぎ騙されてるなあ、とか、この商店の三代目騙されてるなあ、とか悲しみのメリークリスマスをよく見ます。

先細る地方の中小企業の跡継ぎの多くが「中川政七商店症候群」を患い、地方の農家を継いだ若者の多くが「六次産業化症候群」や「瓶詰め商品症候群」を患うわけです。

日経デザインを購読し、事業にデザインを取り入れて再生、再興するために日々研鑽し、そしてコンサルやデザイナーに先祖から受け継いだ財産や親の財布から大金を巻き上げられていくのを散見するに、世知辛い世の中ですなあと。

デザインを経営に取り入れるというのが有効な手段だというのは分かるんですが、ウンコをいくら華美に包装しても、やはりウンコはウンコなんですよ。そういうのを分かっている地方の若手経営者は少ないよね、という話。

きれいなデザインを作ってもらって、商品として流通するレベルのパッケージングが実現した時点で満足してしまっている経営者というのは実に多いわけです。

で、まあこれを自治体やNPOにも言えることで、僕の身近な岡山でも、そういった「デザイン満足症候群」という難病が頻発してまして、その症例を紹介したいと思います。

伝説の岡山市

http://den-oka.jp/

おぼえてる人、いるんでしょうか、2013年に岡山市がブチ上げた「伝説の岡山市」キャンペーンです。地方都市がティーザー広告を打って注目を集めて、キャンペーンサイトに誘導するという手法を取り入れたというか丸パクリした、岡山では初めてのネット主導型のキャンペーンです。

仕掛けたのは電通でしたか、ロゴは香川のうどん脳キャラクターを作った人ではなかったかと思います。なかなか勢いがあって僕は好きでしたけどね。予算は2,000万円でしたでしょうか。低予算でなかなかいいと思ってました。

芸能人を使ったプロモーションムービー、連動したイベント、ロゴマークの民間利用推進、まあ、くまモンには勝てませんが、仕組み丸パクリとしても、岡山でも頑張ってますというのは良い姿勢が示せたのではないでしょうか。

実際に、ウチの商品「ももたん」のパッケージもこの「伝説の岡山市」ロゴを掲載させてもらってましたけど、ロゴマーク利用推進したのはいいが、まったくフォロー無く、結局は、ただ「ロゴマークを作りましたカッコイイでしょ」で終わってしましました。

岡山市の広報だかどこかの部署が旗を振ってやったらしいです。僕の周囲でもなかなか評判良かったんですが、この成功こそがキャンペーンの寿命を縮めてしまうとは、この時だれも予想していなかったわけです。

桃太郎のまち岡山

https://momotaro-city.jp/

前出の「伝説の岡山市」キャンペーンの成功を見て、出し抜かれた格好になって怒り狂った人物が岡山市の中にいらっしゃったようで、どこだかの大学の教授だかに依頼して作った新しい岡山市のキャンペーンロゴが出来ました。

それが「桃太郎のまち岡山」です。

このロゴが出来たのは「伝説の岡山市」を発表したのと同じ2013年ですから、1年間で岡山市をアピールするロゴマークが二つも出来てしまったということになります。市民はどちらをPRの根幹だと捉えればいいんでしょうかね。

まあ、割と早めに「伝説の岡山市」ロゴマークは使わなくなる、という情報が漏れてきたので、ウチの「ももたん」に掲載していた岡山PRロゴも早急にこの「桃太郎のまち岡山」ロゴマークに差し替えました。これが2013年の12月。

これは観光コンベンション推進課というところが旗を振って、商工会議所とかともつながってたのかなあ、そのへんよく覚えてないです。芸能人を使ったりいろいろしてますが、あまりパッとしなかったですね。

「伝説の岡山市」を心良く思わなかった岡山市内部の人の犯行なので、その人達は公金を使って溜飲を下げられたので満足でしょうが。結果としてほとんど意味を成さない存在となりました。

「伝説の岡山市」の時のように、新しい風を吹き込もう、というよりも、既得権益を持つ市内の老舗企業の基盤を守るということに終始したと思います。これで岡山で新しい芽は出ないことが確定しました。

そのあたりについては、過去のブログでも書いてます。

「僕が悲しむとワイフが泣いてしまうので、岡山での「ももたん」事業はここでひとつの区切りとします。」

http://boulangerie.depa.jp/?eid=1086755

政令指定都市となった岡山市が内部抗争の末とはいえ1年間に二つのキャンペーンロゴを作ったことは、まあ、観光に目が向き始めたこととして良かったことだと思います。

しかし、これに業を煮やした第三の存在が、またもやキャンペーンロゴの残骸を新たに増やすことになるとは、このとき誰も予想していなかったのです。

もんげー岡山!

http://monge-okayama.jp/

政令指定都市になったぐらいで大きな顔をしやがって、と言わんばかりに岡山県がさらなるキャンペーンロゴを引っさげて、不毛な岡山キャンペーンロゴマーク戦争に参戦してきました。

岡山市は桃なら、俺達は方言だ。その戦う闘志がみなぎっているのがよく分かります。

やりかたは岡山市やその他の地方都市と何ら変わらない、ロゴマーク、芸能人、ムービー、というパッケージングです。都内にアンテナショップを作るに合わせてやったみたいです。

このへんになると、僕ももう飽きてきたのでウォッチしてないのですが、アンテナショップ自体が鳥取県と共同というなんともチンカスなことをやってのけたので、もう、話題にするにも値しないものになっているようです。

ここまでで三種類のキャンペーンロゴマークが出てきてしまいました。市民、県民は何を使えばいのか、どのキャンペーンが主軸なのか、ロゴマークの民間利用はどれを選択すればいいのか、もう意味が分からなくなってきました。

このカオスこそが、地方キャンペーンロゴウォッチャーとしては、ゆるキャラの次に来るのはこの不毛なキャンペーンロゴ戦争なのではないかと確信させるわけです。

ただ、この超絶無意味なキャンペーンロゴ戦争に終止符が打たれたのか?という問いに、大きな声で「NO!」と叫ぶ存在が現れ、岡山のキャンペーンロゴは三つだけでは終わらせない、という新興勢力が現れることを、我々は知る由もなかったわけです。。。

岡山未来づくりプロジェクト

http://okayama-mirai.jp/

岡山のキャンペーンロゴの覇権争いは終わってはいないぞ!

これを標榜したかどうかは分かりませんが、岡山市事業政策課の旗振りで新たなロゴマークが誕生しました。これは岡山市内の景観利用や観光資産の回遊、廃校利用、歴史的建造物イノベーション、などを柱にしているようです。

これは実働部隊はNPOが主体なようで、これまで紹介したキャンペーンが、ロゴマーク、芸能人、ムービー、ウェブサイトで終始するという、実態が無かったのに対して、今回はイベントが主体のようです。

しかし、アート、食イベント、音楽イベント、というように、やはり地方の自治体の若手が陥る「アート依存症」「イベント依存症」である傾向は強く出ています。

「バカにつける薬なし」と同義語で使われる「結果を出さなくても批判を受けないアートイベントに依存する地方自治体やNPOにつける薬なし」でしょうか。

このキャンペーンのロゴマーク、そこそこ有名なイラストレーターに依頼したらしく、キャラクターの頭頂部には桃を模した謎の物体が乗っています。おそらく桃だと思います。

岡山県の「もんげー岡山!」キャンペーンで、岡山市民の心のよりどころの「桃」を外されたことに怒りをあらわにした岡山市が放つ、政令指定都市岡山市の魂の叫びを感じさせながらも、キャラクターは静的な居住まいだとするコントラストが秀逸です。

このロゴマークにより、岡山市の「桃」キャンペーンロゴ三部作が完成し、桃によるジェットストリームアタックが完結するというメッセージなのかもしれません。マチルダさん。

栄枯盛衰、諸行無常、これら岡山の自治体のキャンペーンロゴマークたちも、歴史に広がる広大なキャンペーンロゴ砂漠(ロゴ砂漠)の砂塵の中の一粒として忘れ去られ、地方再興の掛け声とともに彷徨うわけです。

数年、十数年、数十年、と経過し、今現在の地方再興の総括がなされるとき、これらのキャンペーンロゴはその業深き人の所業を振り返るためのアイコンとして重宝されるでしょう。

そのためにも、地方都市はこれからもカッコイイ、オシャレなキャンペーンロゴを作り続けなくていけないのです。今の世代の幸せよりも、未来に残す遺産として、愚かな地方自治体の墓標となるために、これからも自治体はロゴマークを発注し続け、デザイナーは考え続けるわけです。

しかし、どうして、こう、ロゴマークやウェブサイトだけがオシャレで中身がウンコになるんでしょうかね。

先にも書きましたが、デザインを経営に取り入れるというのが有効な手段だというのは分かるんですが、ウンコをいくら華美に包装しても、やはりウンコはウンコなんですよ。そういうのを分かっている地方自治体やNPO関係者は少ないよね、という話です。

オシャレなロゴマークやウェブサイトは都会、大都市に近づきたい願望や、コンプレックスを昇華するための行動のような気がします。しかし、肝心のコンテンツ作成能力が欠損しているので、ガワだけが残る。寄生虫(既得権益者)に食い荒らされ、皮だけ残った死んだ魚、のような感じになるんだと思います。

じゃあ、地方都市はどうすればいいの?

その答えをお教えしましょう。

イオンモール岡山

http://aeonmall-okayama.com/

地方都市を救う唯一の手段、それがイオンモールです。

明日からプレオープンで、今日納品に行ってきたんですけど、すごかったです。岡山市全体をひっくるめても、勝てないでしょうね。

イオンなんてどうせ地方の消費を食い散らかして逃げるんだろ、と言いますけどねみなさん。ここまで紹介した岡山の自治体やNPOのキャンペーン、結果出してます?結果なんて出してないでしょ。そういうことです。

イオンモールのロゴマーク、決して岡山のキャンペーンロゴのようにオシャレではありません、でも結果のあるロゴです。イオンモールのように結果を出した事象を象徴するロゴと、結果の無い関係者の自己満足のロゴと、どっちに、より意味があるんでしょうかね。

まあ、ロゴマークを眺めててちょっと思ったので書きました。

何が言いたいかというと、

テナントで入る東急ハンズさんからご依頼いただいて、コラボレーションももたんを作ったんで、みなさん買ってくださいね、という宣伝でした。

よろぴくお願いします♡

約束の時間を15分も過ぎちゃったので今日はここまで。