アイデアのスープのレシピ

アイデアのレシピ集

ちょっと言い辛い雰囲気になってきているので、思い切って言うことにする。僕はPOINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)が大好きだ。

僕はPOINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)が大好き。こう言うと「ヒデシマ頭おかしくなったんじゃね?」という向きもあるかもしれないが、まあ、そこは少し時間をください。というのが、いや、まあね、その最近ちょっと気になっててね、ここ最近会う食品関係者(パン屋ではない)がわりと否定的なことを言うのを聞く機会が多くてね、そういうとき、僕はいつもどういう顔をすればいいのか分からなくなるんだ。僕はPOINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)が大好きなんだけど、僕以外はわりと嫌いな人が多いということにね。

で、僕がPOINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)を好きな理由は、わかる人なら薄々バレてるかもしれないけど、紙袋なんかのショッパーとかね、店舗内装とかね、そういうのがいちいち優れているわけですよ。もちろんパンも自分で食べるために何度も新丸ビルまで足を運んでいるしね、もう死角が無いと言っていいくらい素晴らしいブランドだと思うんだ。

否定的なことを言う人はだいたいバックに付いているであろう大きな資本について言及するんだけど、いくらお金があってもあのデザインは出来ないと思うよ。パン屋の紙袋で折り返し付けて手貼りのハンドルとか普通できねえし、色使いも計算されていてスゴイと言う他ない。「金かければいいものなんてできるよ」とか言う人もいるけどね、金を持っていてもダサい人はダサいものしか出来ないんですよ。内装もそう。決定権を持っている人の裁量ですべては決まるんだから。

もう、このブログでも何度も書いているけど、大資本がバックに付いたリテイルなんてもはや主流になりつつあるんだから、そこはもう無視できないんだよね。そういう大資本、例えば1億とか2億のお金を注ぎ込める環境にある人がどんどん業界にも参入してくるわけよ。だから、そういう大資本憎しみたいなことを言っても今さら始まらなくて、そういうトコとどうやって対峙していくかがこれからのリテイルのテーマになると思うんだ。

誰がやっているとか、どこからお金が出ているとか、もうそういう次元じゃないんだと思う。結果として何が出来たのかしかお客さんには伝わらないんだから。お金をかけて優秀なスタッフが考えてそこから紡ぎだされる商品がどれだけお客さんのもとに届くか、結果お客さんにどんな思いを抱かせられるか、そこに尽きると思うんですわ。

姉妹店が何店舗かあるけど、そこにいるお客さんだって「いわゆるパン好き」な小汚いオバハンではなくて、小奇麗なシュッとした女性が多い。今までのいわゆるパン屋とは何かが大きく違うんだよね。デパートの催事でもPOINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)は頭一つ抜け出しているような話をよく聞くし、ちゃんと伝わってるんだよ。きっと。

で、パンはどうなの?といえば、これがまた新しくて僕は好きなんだ。何がいいって、目的がフランスではないところなんだと思う。最近よく言うんだけど、僕らは日本人だから逆立ちしたってフランス人にはなれないんだよね。僕らが住んでいる日本だって戦争でも起きて植民地化されない限りフランス領にならない。

僕が激しく心を揺さぶられたのは、POINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)のプロデューサーが言った「べつにみんなバゲットを焼けるようになる必要はない」という言葉だ。そうなんだよね、僕らの鼻は低い。無理してフランス人の真似をしなくてもいいと思うんだ。

そういえば今日、僕のお店に来たお客さんが「ベーグル無いんですか?」って聞くんだ。目の前に色とりどりのカンパーニュが並んでいるのにも関わらずだ。僕が7年かけて創りだした完全オリジナルの四季のカンパーニュを目の前にして、ベーグルが欲しいと言うんだよ。結局ベーグルは無いというと何も買わずに帰ったけどね。もうね、バゲット無いんですか?アンパン無いんですか?サンドイッチ無いんですか?クロワッサン無いんですか?目の前にあるものを見ようともせず、刷り込まれたカテゴリーでしか選べなくなったのは、雑誌のパン特集がカテゴリー別で取り上げ続けた結果なんだけど、そこをブレイクスルーしたPOINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)はやっぱりスゴイというしか無いんだよね。だってこの店には「いわゆる○○○○」という一般的なパンは存在しないんだ。

大手各社がフランスから有名ブーランジェリーを誘致してライセンスで展開している中、デュヌラルテ、ダンディゾン、そしてポワンエリーニュと国内オリジナルブランドを展開してきたことは、この閉塞したパン業界にとって次の時代の大きな礎だと思うんだ。ここにこそ次の時代の一手があると思うんだけど。どうかな。

で、催事とかでもトップクラスの売上を誇るこのブランドの対抗馬としてナショナルデパートの名前が複数から挙がっているのはとても嬉しい。おそらくフランスの真似ではない日本国内オリジナルブランドの必要性にみんなが気づいてきたんだと思う。資本の勝負ではなく、その結果としての商品力やブランド力で勝負する時代が遅まきながらこのパン業界にも始まったと言えるんではないかな。

いろいろ書いたけど、まあ、最近ちょっと言い辛い雰囲気になってきているので、思い切って言うことにする。僕はPOINT ET LIGNE(ポワンエリーニュ)が大好きだ。