アイデアのスープのレシピ

アイデアのレシピ集

出店に向けて工場の省人化を本格的に考えてみる。

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工場は省人化へ向かう。

ということで、都内にセントラルキッチン(お店付き)を設置するにあたって、導入機械の選定を行なわなければいけないので、ついさっきまで夏休みだった私は慌てるわけですよ。まだ仕事モードになってないんですからね。なので、頭の整理をするためにもちょっと書きます。パン屋さんじゃなかったら興味無いかもしれませんがw。

というか、都内に工場を設置することになりました。順調に行けば9月にプレオープン、10月にグランドオープンという運びになりそうです。いつもながら展開が早いですね。もう自分でやってるのに自分が追いつけなくなりそうです。

 

で、書いていく前にタイトルにもある「省人化」ですね、これは読んで字のごとく少ない人でも運営可能な工場を作るということです。これには「食品工場の機械化」するという前提があってですね、じゃあ機械化するってどういう意味があるの?というのを書いておきます。

A)製造能力を上げる

B)不良品率を下げる

C)人件費を下げる

ひじょうに単純ですね。この他にも衛生管理しやすいとか複雑な処理を簡便にするだとか派生する要素も有りますが、製造数というポジティブな数値を上げて、不良品率や人件費というネガティブな数値を下げるという単純な考えが機械化のスタートだと思ってください。

 

今回の工場は製造工程のすべてを機械化してオートメーション化するという大規模なものではなく、工程の一部を機械化することでイニシャルコストを下げながら、効率的な人員配置でトータルな省人化を目指しています。

ポイントは一時的な売上増に対応すること。一時的に売上増、というのは例えば催事や期間限定商品の受注、ポップアップショップの展開などが想定されます。目指すのは人員を増やすこと無く製造量の倍増に備えうる設備、という感じになります。

いきなり普段の3倍とか5倍のオーダーにも対応できるよう、製造機械は永続的な大量生産のためというよりも、短期間の爆発的な売上増に対応するための製造能力のバッファとして機能します

 

職人ではなく管理職を育てる工場経営学

パン屋さんやケーキ屋さんにおいて安定的に売上を維持するためには「職人を育てる」ということが大切になってきます。小ロット多品種の製造で売場の魅力を維持するためには製造工程を人力でこなす必要があります。「職人」は仕事を通して未来の独立のために技術を身につけ、他業種の同年代に比べて低い賃金で長時間働くことでお店に利益をもたらします。

これに対して工場経営学では「職人」というマンパワーに100%頼らずに製造量を上げるため、従業員の能力は「習熟度」、「修練度」という数値によって管理されます。

これは作業練度を上げる工程管理で、例えば経験ゼロで入社した人が、定められた製造量を求められる精度で作り続ける能力を身につけるまでに、必要な実習時間は延べ何時間なのか、パーソナリティーによって最適なライン配置を行うことで、修練度の達成に必要時間と給与を積算した教育コストを管理する考え方です。

必要な修練度に達した従業員は、製造機械のパフォーマンスを100%引き出し、より効率よく精度の高い製品をより多く作ることが要求されます。機械の管理職とでも言うべきなのかもしれません。

 

半機械化のメリット

単一商品の売上が1億未満で5ラインの合計が5億程度を狙うには機械化は半分に抑えておかないといけません。工場面積の中の機械設置面積が占める割合が増えて、ラインの増設時に厄介なことになります。将来のアイテム増に備えておくためにも初期導入機械は最低限度に抑えておく必要があります。

しかし食品製造機械というのは専門性が高く、何百万、何千万円をかけて導入した機械なのに作れるのはたった1種類のお菓子、というものが多くあります。長時間稼働・大量生産というならこれでも良いのですが、機械化によって少量多品種を目指すなら、一定の作業を機械化(自動化)してモジュール化し、手作業によって多様な個性ある商品に組み替えていくという仕組みを作らなくてはいけません。

食品工場のモジュール化、オブジェクト指向と言ったほうが分かりやすい人もいるかもしれません。逆に分かりにくいと思いますが。

 

ライン管理

先ほど書いた年間想定売上5億、1商品ラインの売上が年間1億、商品ラインA・B・C・D・Eの5ラインが稼働、という前提で考えてみます。

Aラインはベースの商品、いわゆる看板商品ですね、これは生鮮に近いカテゴリーなので毎日製造します。Aラインの作業のほとんどが手作業、しかし、製造工程で人がついて管理する時間は短く、売上は安定的に出していて、生鮮でありながら製造後加工によって長期保存商品に切り替えることも出来ます。

B・C・D・Eラインは毎日繰り返し製造するわけではないけど、それぞれに派生商品の数が異なり、製造頻度も異なるという商品群のラインです。

たとえばBラインは派生商品が10種類あり週1回ラインを動かして1ヶ月で派生商品10種類をコンプリートする必要がある。というなら、1回の稼働で2種類以上の商品を作らないといけません。これは1日の中で複数回ラインを切り替えることで対応が可能です。

このような工程を残りのC・D・Eラインでも行うことで省人化と少量多品種の製造を可能にしていきます。

 

もうちょっと書きたいんですが、出かけなきゃいけないので今日はこのへんで。

 

モノと人の流れを改善し生産性を向上させる!  食品工場の工程管理