アイデアのスープのレシピ

アイデアのレシピ集

埃をかぶるデザインと中川政七商店メソッド

デザインの系譜を調べてるんだけど、デザインで賞を獲った商品って、売場で埃をかぶってるものが多いんですよね。売場を見てて「ああ、これ面白いな~」と思ったものを調べるとやっぱり賞を獲っている。でもそういう商品ほど売場で埃をかぶっている。

「リデザインの力で売上が20倍の2,000個に!」とか書かれているんだけど、もともと100個しか売れない商品ということに問題があるというのを経営者が気づかないといけないと思うんですよ。僕はそういうところでずっと悩まされたわけですから。

メーカーとデザイナーの協業という流れはもう一つの流れとして定着しているけど、デザインを変えたら売れた、という事例が、売場で社会で本当に残っていくのかどうかというのは、今後何年も経過を見ていかないといけないことのように思いますわ。

今の流れが誰のためなのか、メーカーのためなのか、消費者のためなのか、それとも現状のデザイナーにチャンスを与えるための機会としての意味合いが強いのか。もうよう分からんですね。僕は本業がデザイナーではないんで。。。

ただ見ていて、今後に残るデザインは、いま新しく出てきているデザインではないということだけは確実で、その理由は、ここ数年を見ているだけでも「同じ傾向のデザイン」が大量に世の中に出てきた時、数年後それらが売場に残っていないということからも感じられるし、それは流行であって本質ではないということだと思ってるからです。まあ流行が本質なのかもしれませんが。

今の若い人は優秀で、早くから新素材や新技術にも親しんでるし、そういう意味ではこれからの商品開発というのは若い人たちにバトンが渡されていくんだろうなあとは、ワリと本気で感じている。

でもまあ、個人的にスッキリしないのは、「老舗×若手デザイナー」という、老舗の無能な跡継ぎが財産を保全するための「中川政七商店メソッド」が脈々と生き続けていることのようにも思えて、やはりイライラする。

テレビでもこういった協業が取り上げられることが増え、チラッと見ると「以前は売上が2億あったのが、今では2千万まで落ちた」という地方企業がデザインで再生するという事例が出ていて、いやいやそれは売上を1億8千万も落としたお前が胸に手を当てて反省するのが先だろうが、と思うわけです。

旗を振っている御仁の会社も「もともとは売上9億だったのが、いまでは30億です」とコメントするんですが、僕としてはそのスタート時の9億の売上すら雲の上なわけですよ。先に書いた売上を1億8千万落とした会社だって、2億の売上を賄う設備を持っているわけです。

社会的には良いことだと思うし、産業の再興には既存の事業者が健全化するのが早いというのも分かる。しかしゼロからスタートする事例がほぼ出てこなくなった昨今では、生まれによる二極化が顕著になってきてるのではないかと思うわけです。まあ、どうしようもない局面ほど燃えるタイプには絶好のチャンスなのかも知れんですがね。仕事に戻ります。

ちなみに中川政七商店は大好きですよ。念のため。