アイデアのスープのレシピ

アイデアのレシピ集

日本のクラウドファンディングが飛田新地化し、単なる中抜きモデルとして定着する未来

このエントリーはクラウドファンディングを利用して社会に有益な事業を始めようと必要な資金を調達する人たちが食い物にされる社会がすぐそこにやってきているという話をします。

みなさん、お金、集めてますか?

ということで、すでに日本でも定着し始めた新たな資金調達方法のクラウドファンディングですが、ここにきて何やら不穏な動きが顕著になってきて問題になってます。いわゆる炎上ですね。

あんまし個別の件で書くのもなんなんですが、女優の真木よう子さんがコミケで自身の写真集を頒布するための制作資金をクラウドファンディングで集めようとしたところ、「芸能人が来るんじゃねえよ」とコミケ界隈から反発が出て、「芸能人が来るんじゃねえよ」とクラウドファンディング界隈から反発が出るという具合で八方塞がりの状況に陥って真木よう子さんがTwitterアカウントを削除して謝罪するという事態になりました。

まあ皆さんお立場上いろいろご意見あると思うのですが、私はコミケに芸能人が参加するのも、クラウドファンディングで芸能人が知名度を生かして資金をかき集めるのも別に何でもいいと思ってます。私が思うに、この件であぶりだされたのは、芸能人が一般市民が汗を流している場に芸能人が土足で踏み込んできたぜということではなく、クラウドファンディングが単なる中抜き業者の跋扈する世界になってしまったことだと考えています。

本件の顛末については山本一郎氏の記事が一番まとまってるので掲載。

 

 

クラウドファンディング界隈で中抜き業者が跋扈する理由

どうやら本件では北尾修一氏という人物(太田出版→CAMPFIRE?)がキーマンなようで、芸能人というコンテンツを立てて、コミケというコミュニティを利用して、クラウドファンディングというプラットフォームで資金を集めて、エゲつなく中抜きしてやるぜという意気込みがムンムンしていてなかなか好感が持てます。

クラウドファンディングで資金を調達する側にとって一番大変な「集客」について、PRTIMESなどと組んでドカンと情報を投下・拡散したことについて、芸能人だけが援護射撃を受けて資金集めができて、一般の人が自力で拡散するのってなんか馬鹿にしてない?という考えが私の中にはあります。

すでにクラウドファンディングを利用(当事者でなく)してプロジェクトの立て方や掲載などのノウハウを提供して中抜きする業者も多数出てきているのですが、これは、クラウドファンディングというシステムがプロジェクトを立ち上げる側にとって、とても負担の大きな仕組みになっているのが原因と言えます。美麗なグラフィックを用意し、共感を呼ぶようなライティングをしなければならないし、SNSで集客もしなければいけない、挙句の果てはクラウドファンディングプラットフォームに天引きされる。対価についても自分たちで手配しないといけない。ならば掲載までの道をショートカットして中抜き業者に頼もうかという流れも出てくるのは当然です。

 

日本のクラウドファンディングは飛田新地化する

資金を調達したい人が クラウドファンディングを利用するのは、もはや一般的になりつつあるというのが私の感想なのですが、クラウドファンディングを利用して資金調達するのは本当に大変です。私自身も4年前にクラウドファンディングを利用して資金を集め、事業を開始した経験がありますから、実際に何が大変なのかということもよく理解しています。

資金集めをする実行者は何から何まで自分でやらなければならず、プラットフォームは場所貸しだけ、客が付くかどうかは実行者の努力次第、客を取ってその後なにをするかは自由、でもちゃんとショバ代は頂く。あれ、これって飛田新地とかの売春宿と同じシステムですね。

 

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クラウドファンディングというのは、インターネットを通じて不特定多数の人たちから少額の支援を頭数集めて大きな事業資金にしましょうという (ちょっと乱暴な省略)考えなのですが、この頭数を集めるのがとっても大変なのです。

 

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一般的にクラウドファンディングでは自分のプロジェクトページへの集客は自力で行います。プラットフォームも集客に協力してくれますが、プレスリリースのスペースを平等に分けてくれるということではなく、あくまで露出するように掲載はしますよ、ということです。今回のように芸能人特別枠みたいな扱いが出てくると、非芸能人で社会に有用な事業を行おうとする人のプロジェクトは見えなくなります。

 

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クラウドファンディングの集客はすごく効率が悪いのです。それぞれのプロジェクトがバラバラに集客します。飛田新地システムですね。町全体はそういうふうなサービスをやってる店がありますよ、自由恋愛ですよ、と言いつつも集客や客付けは独自でやらなければいけない。それがそれぞれバラバラにやる。

飛田新地なら、町全体がそういうお店があるという認識で見込み客が集まるのでまだマシですが、これがクラウドファンディングだとこうなります。

 

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これがクラウドファンディングの弱点です。

プラットフォームの集客が相乗効果を生みにくい原因は、バラバラのプロジェクトが点在していて、統一性がないことです。ここが飛田新地に比べてクラウドファンディングが劣るところです。

なんでもかんでもプロジェクトを掲載して、集客は実行者任せ、なんならプロジェクト立ち上げから掲載までのコンサルを自作自演して、そこからも中抜きしようとする。女衒をつかって女優の写真集をコミケで売ろうとブチ上げて、ああ、この女なら3.000万は固いなと値踏みして、それはさすがにマズいだろうと目標金額を800万に下げて集客、この話の中に女衒は何人、いくら中抜きされて、だれが得をするのでしょうかね。

遊郭のやり手ババアとクラウドファンディングの中抜き業者、さて、今後どうなるか見守りたいと思います。

 

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北尾修一氏の謝罪、なぜかGoogledriveにPDFでアップという狡猾な手段。

https://drive.google.com/file/d/0BzEQ-Z5glJvvODhTZFhpX1JyRVE/view